慢性腎臓病(CKD)・尿と病気

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慢性腎臓病(CKD)


慢性腎臓病(CKD)/尿と病気


     
§1  慢性腎臓病(CKD)とは/慢性腎臓病(CKD)/尿と病気


       慢性腎臓病(chronic kidney disease CKD)は自覚症状が無く、その端緒は尿の異常からです。しかも、腎

       機能の低下が徐々に進行し、最後は末期腎不全(尿毒症)に至る厳しい疾患といえます。慢性腎臓病は20

       04年頃から診断名として使用されているものです。これは、透析や移植を必要とする腎機能代行療法が増

       加傾向にあり、 多額の費用を必要とする腎機能代行療法を減少させなければならないという危機感が背景

       にある様です。 慢性腎臓病(CKD)自体が心血管障害、 入院、死亡の重大なリスクファクターであり、腎不

       全予備軍は透析導入患者さんの50倍にも達すると考えられており 、日本腎臓病学会の調査報告でもこれ

       を裏付けております。慢性腎臓病(CKD)の後期では、血圧や脂質代謝異常のコントロールが困難になるた

       め、早期発見、早期治療が極めて重要になります。検尿(特に蛋白尿は要注意)以外では、高血圧患者さん

       に慢性腎臓病(CKD)が多い事がわかっており、日頃の血圧のコントロールが大切です。






     
§2  慢性腎臓病(CKD)の診断/慢性腎臓病(CKD)/尿と病気


       慢性腎臓病(CKD)の診断には年齢、性別、血清クレアチニンから推定される腎機能(糸球体濾過量/GFR

       の評価が必要になります。糸球体濾過量はイヌリンを用いるGFRで評価されるものですが、検査法が煩雑の

       ためにクレアチニンクリアランス(Ccr)値で代用されています。このCcrは実際の値を過大に評価するため、C

       KDでは、あまり用いられなくなっております。

病理、画像診断、血液・尿異常で腎障害の存在が明らか(特に蛋白尿の存在が重要)
GFR<60mL/min/1.73u
1、2のいずれか、または両方が3ヶ月以上持続する。




     
§3  慢性腎臓病(CKD)のステージ/慢性腎臓病(CKD)/尿と病気


       
CKDのステージが増加する(腎機能が悪化する)ほどに、心血管疾患を発症するリスクが高まる事は、循環

       器医の立場からも指摘されています。GFRが60mL/分/1.73u未満であれば、躊躇無くCKDと判定されます。

       60mL/分/1.73u以上であっても、検尿、画像、組織学的異常があれば、CKDと判定されます。


ステージ 各ステージの内容 進行度による分類 治療法による分類
GFR
mL/分/1.73u
関連事項
T 腎障害は存在するが、GFRは正常または増加している。 ≧90 アルブミン尿蛋白尿血尿 移植患者の場合には、Tで表わす。
U 腎障害が存在し、GFRが軽度低下している。 60〜89 アルブミン尿、蛋白尿、血尿
V 中程度のGFR低下 30〜59 慢性腎機能不全、初期腎機能不全
W 高度の腎機能低下 15〜29 慢性腎機能不全、進行期腎機能不全、末期腎不全前期
X 腎不全 <15 腎不全、尿毒症、末期腎不全

        * 透析患者(血液透析腹膜透析)の場合にはDを付ける。





     
§4  慢性腎臓病(CKD)の危険因子/慢性腎臓病(CKD)/尿と病気


古典的危険因子 高血圧 男性 喫煙
脂質代謝異常 白人 運動不足
糖尿病 閉経 加齢
左室肥大
非古典的危険因子 体液量過剰 高トリグリセリド血症 Ca、Pi代謝異常
高リポ蛋白血症 PTH(副甲状腺ホルモン) リポ蛋白(a)
貧血 高ホモシステイン血症 酸化ストレス
CRP(C反応性蛋白) 栄養不良 睡眠障害
交感神経過緊張 NO/エンドセリン
透析関連危険因子 血行動態 ブラッド・アクセス 透析アミロイドーシス
アセテート(透析液) 血管石灰化 透析歴の長期化






     
§5  慢性腎臓病(CKD)の原疾患/慢性腎臓病(CKD)/尿と病気


       
一次性腎疾患;慢性糸球体腎炎(IgA腎症)による腎障害は若い成人に多く確認されます。自覚症状は無く、

       尿検査で発見される事はありますので、尿蛋白などの異常が発見された場合には、精密検査を受ける事が

       必要です。IgA腎症は末期腎不全(尿毒症)に至るケースとして最も多い疾患です。中年以降では膜性腎症

       に注意が必要になります。



       
二次性腎疾患;圧倒的に糖尿病性腎症が代表的疾患で、血尿の併発、糖尿病歴が短い腎障害、網膜症がな

       い場合長期の高血圧歴などの糸球体腎炎や腎硬化症との鑑別が難しく、その場合、腎生検の確定診断が必

       要になってきます。 糖尿病性腎症では微量アルブミン尿の検出が重要になります。成人ではメタボリックシン

       ドロームの場合、肥満、高血圧、脂質異常症、耐糖能異常など慢性腎臓病(CKD)にとり、ネガティブなリスク

       ファクター(慢性腎臓病の危険因子を御参考にご覧下さい)が多いため注意が必要です。




      

      
 * クレアチニンの意味;クレアチニン値は腎臓の機能の状態を知る重要な検査値です。腎機能が低下しており

       ますと、クレアチニンを尿中に捨てる事が出来なくなり、血中の濃度が高くなる事は良くしられております。正常

       値を超えている場合、 腎臓の機能が半分以下になっている証拠であり、機能が30%以下になりますと、貧血、

       高血圧の症状が出て、血液は酸性に傾斜します。10%までに落ちますと、人工透析が必要になりますが、自

       覚症状は50%以下になるまでは出ません。定期検査値は大変重要なシグナルになります。



     
  * 慢性腎臓病;尿タンパクが陽性になっている場合や、 腎臓の機能が低下している状態で、 この疾患を罹患し

       ている場合、 心筋梗塞を発症する確率は糖尿病患者さんと同程度であるとされており、慢性腎臓病を減らさな

       ければ、 心筋梗塞や脳卒中を減らす事は出来ないと考えられております。 日本腎臓学会の調査では、成人の

       13%は慢性腎臓病であるとしております。 喫煙、飲酒、肥満は尿タンパクが出る確率を高めます。慢性腎臓病

       の治療は近年大きく進歩しており、 糖尿病性腎症の場合、微量アルブミン尿が初期に出ますので、早期治療に

       役立てる事が出来ます。進行して試験紙で尿タンパクを検出する段階でも、消失の可能性があるという報告もあ

       ります。症状が消失しなかった場合でも、腎臓の機能低下を遅らせる事も可能です。糖尿病性であれば、HbA1

       cをしっかりコントロールする事で低下速度は40%遅らせる事が出来るとしております。この際、血圧の管理も重

       要になります。













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